大学の彼が関係性をつなぎとめようと裏でストーカーを演じ、表では助けるヒーローになる、という自作自演に騙された話

大学の彼が関係性をつなぎとめようと裏でストーカーを演じ、表では助けるヒーローになる、という自作自演に騙された話

【性別】女性
【年齢】(ストーカー被害を受けた当時)
20歳
【職業】(ストーカー被害を受けた当時)
大学生

【住まい】(ストーカー被害を受けた当時)
アパートで独り暮らし





【ストーカーされる前の日常生活】
2年ほどつきあった束縛の激しい彼ともう別れたい、と思いながらも、口のうまい彼と別れられない日々でした。
でも友達や後輩と楽しく遊んだり、アルバイトも掛け持ちして忙しかったので、そこそこ充実していました。




【ストーカーに気付いたきっかけ】
ある日、帰宅すると知らないメールアドレスから携帯電話にメールが届いた。
「お帰り。
今日は早かったね。」
最初は送信間違いメールが届いたのかと思い、「間違ってますよ」と返信した。
しかし、帰宅した途端、「今日は遅かったね。
今日襲いに行くね」
というようなメールが何度も続くようになり、これはストーカーだと気がついた。

【ストーカーされた期間】
3ヶ月ほど




【ストーカーに気付いた時の心境】
その時、アパートの1階に住んでいたので、もし無理やり窓を割られて入ってこられたらどうしよう、と、とても恐怖を感じました。
学校からの帰り道や、アルバイト先からの帰り道も周りを警戒しながら歩き、帰宅した後も、帰宅したと悟られないように押入れの中に電灯を入れて極力気配を消しながら、怯えながら暮らしていました。
都度メーウアドレスが変わるため、誰が犯人なのかもわからず、友達も疑ってしまった。




【ストーカーはどんな人か】
当時付き合っていた、同じ大学の1個上の21歳の彼でした。
友達がいずれも実家暮らしで少し遠方に住んでいたため、近くにいた関係がうまくいっていなかった彼に頼らざるを得ず、何かあったら連絡をするように、と言われていたので私も頼ってしまっていた。
結局メールの内容が過激にエスカレートしていったため、途中から彼の独り暮らしの家にかくまってもらうことになった。
彼は変動メールアドレスを取得して、ストーカーとヒーローの自作自演をしながら、私の恐怖を利用して自分の側にいさせたかったようだ。




【具体的にされたこと】
ほぼ毎日「おかえり。
今日は○○と話していたね。
本当に男好きだな、お前は。」
「今晩犯しに行くよ」「ドアに精子かけておいたから」などのメールを送ってくるようになった。
非通知での電話は数分おきに何度も何度も繰り返し掛かってきていた。




【相談と助けてくれた人】
その時頼り切っていた彼には、誰にも言わないほうが良い。
誰が犯人かわからない状態で誰かに相談するのは、激高させるかもしれないから危険、と言われており、私も信じてしまっていたので、両親にも相談出来ずにいた。
しかし年末に帰省し家族の顔を見たら、怖かった思いがこみ上げてきて全て話した。
すると両親は、まず大学に相談しよう、と提案してくれ、警察と大学のゼミの先生に相談することにした。
彼には誰にも言わないほうがよい、と言われており、怒らせたら怖いと思い、内緒で相談した。




【ストーカー対策】
帰り道に誰かと電話をしている風を装ったり、一番の友達に協力してもらって泊めてもらったりしていた。
ただ誰が犯人か、誰が犯人と仲がよいのかが見えて来ず、一人の信頼できる友達にしか話せていなかったため、協力してもらえるのにも限界があった。




【強烈な出来事】
「ドアに精子をかけておいたから」というメールが届いたときは一番の恐怖だった。
アルバイト先にいたのですぐさま彼に連絡をして怖くて家に帰れないと話し、家まで送ってもらった。
こわごわ玄関ドアをみたら、それらしいものがドアにべっとりとついていた。
彼がどいて、俺が綺麗にしてやる、本当に狂ってんな、と言いながら、すぐに拭き取り、ペットボトルで水をかけて綺麗に掃除してくれた。
しかし、今まで、メールだけで いくよ、とか、犯しに行く、と来るだけで、本当に来たことはなかったので、ああ、犯人は本当に私の家に来たんだ、と思うと怖かった。
そしてその後、荷物をまとめて彼の家に逃げ込み、半同棲生活を始めたが、メールはほぼ毎日、非通知電話は大幅に減った。




【解決のきっかけ】
警察に相談したが、メール・電話だけで実被害がないこと、また変動のメールアドレスを使っているので人物特定が当時は出来ないとのことで、具体的に動くのは難しいとのことだったが、パトロールを強化してくださるとのことだった。
今までの電話の着信時間やメール内容は全て紙に書いて記録しており、ゼミの女性の先生に相談したところ、学校長も含めた面談の場を設定してくださり、住んでいたアパートから空いている女子寮への移動を提案してくれた。
また、心理カウンセラーの先生を紹介してくださり、話を聞いてくださり、カウンセリングを受けた。
そこでカウンセラーの先生とのやり取りで目が覚めた。
「彼が助けてくれているのね?」「はい。」「思い出してみてほしいんだけど、この電話やメールが来たとき、彼と一緒のときはあった?」「・・・・」「今回のストーカーの事件で誰が一番得としていると思う?」「・・・・」
ここで気がついた。
彼と一緒のときはあんなに来るメールも電話も来ない。
ストーカーが怖くていつも彼と一緒にいるようになった。
彼の言うことを聞くようなった。
カウンセラーの先生は「彼が犯人であるとは断定出来ないけれど、彼を刺激しないように綺麗に別れ話をして、今彼といる家を離れて、寮へ引っ越しなさい」と言ってくださった。
すぐに彼には、両親が来るからしばらく会えない旨を伝え、両親を含めて極秘での寮への引っ越しを行ってから、彼の家に向かって別れ話を切り出した。
「今まで助けてくれて本当に有難う。
これからは自分で頑張るし、就職活動も頑張りたいからお別れしよう」
というような内容だった。
彼はわかった、と言ってくれ、彼の独り暮らしをしていた家を出た途端、一通のメールがきた。
「○○さんと別れたんだってね。
これから俺のものにするから」
これで確信した。
私が別れ話をすると言ったのは両親と先生方しかいないのだ。
彼が犯人だった。
そう思い、アドレス番号も全て変え、寮での生活を始めた。




【ストーカーのその後】
しばらく大学内で見かけては会わないように気をつけていたが、しばらくすると、口のうまい彼にはすぐに新しいかわいい彼女ができたようで、そこからは全く被害は起こらなかった。
その子は私の仲良くしている後輩の女の子だったが、心の中で末永くお幸せに。

と思った。




【現在の生活】
解決してから19年だったが、いまだあの時を越える恐怖は起きていない。
夜道での帰り道にはかなり警戒して歩くようになってしまう。
彼は、当時の彼女と結婚し子供もいるようで、もう二度と恐怖で人をコントロールするようなことはしないでほしい。

【学んだこと】
自分の頭で冷静に考えることが必要ということです。
誰かに早く相談していればもっと早くに解決していたかもしれないし。
また、うまく言っていない人間関係を表面上そのままにしてしまっていた自分も悪かったかもしれないと思いました。



【当時の自分へのアドバイス】
まずは怖かったね。
だけど、被害記録を残していて偉かった。
あとは、自分の頭で考えて一刻も早く両親に相談してね。
そして信頼できる友達を大切にしてください。
あなたは一人じゃない。
彼だけが味方じゃないんだよ。
たくさんの人に守ってもられるのだから、しっかり頼りなさい。
そして、彼のことをしっかりと見極めて、自分を大切にしてね。